四
あなたの手の温もりを私は忘れない
あなたと心通う唯一の一時だから
あなたの魔法の言葉を私は忘れない
あなたと愛を確かめ合う唯一の瞬間だから
あなたの瞳の懐かしさを私は忘れない
あなたと共有する喜びを唯一かみ締める瞬間だから
あなたと私は無二の関係であってこそ
たがいに愛を確かめあえるのだから
私はあなたを忘れない
あなたとの出会いこそが
私を目覚めさせた瞬間なのだから
私の愛のかたちを
作ってくれたあなたを
私は忘れない
愛するあなたへ
三
あなたはいつも笑っている
笑っているあなたを私がなにより好きな事を知っているから
あなたは私の手を握り締めいつも笑っている
楽しいときも
苦しい時も
嫌な時も
混乱している時も
あなたは私の手を離さない
あなたと私の愛のかたちだから
たがいに手を合わせ
私があなたに魔法の言葉をかけると
あなたは笑い
そして握り締めた手をさらに固く握り返してくる
それがあなたの愛情表現だから
私もあなたの手を
離さぬように
見失わぬように
そっと目を閉じて
無上の喜びをかみ締める
あなたにとって
私にとって
この瞬間が私とあなたの心通う
大切な愛の証なのだから
この小さな手のひらを私は離さない
愛するあなたへ
二
あなたは笑った
あなたは哀しみに暮れる私のかたわらで笑った
あなたを思い泣いているかたわらであなたは笑った
何年ぶりだろうあなたの微笑み
私があなたを見失ってから
あなたから天使の微笑みは消えた
あなたは私の手を握り締め泣いた日を
私は後悔している
少しでもあなたの拠り所になりたくて
たがいに手のひらを合わせ
愛を確かめ合ってきたのに
あなたは私の手のひらをすり抜けさっていった
ほんの少しのお別れだ
私があなたを思っているかぎり
私があなたを慕っているかぎり
あなたは私の傍らで魔法の言葉を囁いてくれる
あなたの魔法の言葉がなにより嬉しくて
握り締めた小さな手のひらに
無上の喜びを感じる
そんな優しいあなたを自由に羽ばたかせたくて
わたしは泣いた
あなたの愛を数多の人達に分け与えさせたくて
私はあなたの背中をそっと押した